木曜日の風のいろ17


曲がり角が多くても、分かれ道が続いても、どの道を行ったとしても、
きっと行き着くところは同じ…。
知らない道にだって野の花は咲いている。空を眺めながら、風に吹かれながら、
歌なんか口ずさみながら、この先ものんびり歩いて行きましょう。



    聴きたい  (2026.3.12)      届くはずのない声をかけている      返って来るはずのない声を待っている      野原の草たちを撫で      木々の梢を揺らし      山々を吹き渡る風に乗り      さざなみの水面の上を渡り      どこまでもどこまでも運ばれて行く      話したいことはたくさんあるのに      なかなかことばにならない      それでも聴いて欲しいから      元気にしています      と声にして      うんうん      頑張ってるね      分かっているよ      と言って      その声が聴きたいから      風の丘で受話器を      握って握りしめて      声をかけ続ける      届いていると信じて         (「風の電話」に寄せて)
    聴 く  (2026.3.5)      庭仕事の最中      どこからか鳥の鳴き声が      あまり聞き慣れない声      誰だろう      どこからだろう      手を動かしながら      耳はそちらの方へ      すると      聞き慣れない中に      ケケッキョって声が      アァうぐいすさんだ      うぐいすの笹鳴き      練習中なんだねェ      残念ながらウチの庭じゃない      川向こうのお庭の梅か      もう少し上の山の近くか      春真っ盛りが近いから      鳴き声もそのうち上手になるよね      推し活っていうにはほど遠いけど      好きなアーティストのファン向けイベントへ      歌はもちろんトークにお楽しみコーナーも      歌声もおしゃべりも      存分に聴き入り笑って      いい時間を過ごして来た      日頃はなかなかうまく行かないことも      多々あったりするけど      時には心の声を聴き      素直に従い      行きたい所へ行く      したいことをする      それによって得る時間も大事      身体と心は繋がっているから      身体も元気でいるためにはね
    読む II  (2026.2.26)      昨日は薄曇りから霧雨へ      今日は朝からわりと本降りっぽい      連日のようにどこかで火事のニュース      この雨で少しでも空気が潤ってくれれば      天気予報はちゃんと      雲の流れや空気の湿り具合      風向きを読んで伝えてくれる      複数の人が居る場でも      空気を読む       人の心を読む      ってことが必要に      職場でいくつも経験し      そうっと様子を見たり乗り切ったり      これからは      相方や自分の体調      残りの時間      何をしたいのか?      何をやって行けばいいのか?      何がやれるのか?      お互いの心      自分自身の心を読むことが必要なのかも
    読む  (2026.2.19)      子どもの頃      本を読むのが好きだった      図書の時間も借りて帰るのも      カードに題名を書き込んで      だんだん埋まって行くのも楽しかった      大人になってからも      図書館でよく借りたし      書店を覗くのも好きで      平積みよりもきっちり収まっている棚の      背表紙を見ながら      棚の間を端から歩き      出会いを探していた      自分用の書棚に並んでる本たち      気力なのか視力の問題か      時々眺めはするが      なかなか読めないでいる      もう一度読んだら手放してもいい      と思いつつ      だんだん残り時間が      少なくなって行くのは間違いないから      眺めるだけじゃなく      取り出して広げて読まなくちゃ      新しく建て替えられた図書館の      オープンが近い      また背表紙を眺めに出かけよう      新しい出会いを手にしよう      そしてまた読むことを楽しめますように
    おひなさま  (2026.2.12)      あちらこちらのひな巡りのニュース      もうそんな季節      娘の嫁いだ町でも例年行われていて      娘と共に嫁いだおひなさま      今日飾り付けの手伝いに      無事に飾り終わり      眺めながらのひと時のお茶      数日前には久々の積雪だったけど      今日は快晴      部屋も明るくなって春はすぐ隣り      我が家にはもう二つのおひなさま      実家で長年飾って来た多分昭和初期のもの      おだいりさまとおひなさま      お二人だけのささやかなもの      もう一つは      義母が私へと手作りしてくれた      縮緬細工のもの      小さなケースに収まっている      我が家のおひなさまたちも      ちゃんと飾ってあげなければ      それぞれに心のこもっているものだから      今はどちらも私だけのおひなさま
    頃  (2026.2.5)      あの頃は良かったよね      今がちょうどいい頃なんじゃない      頃合いを見計らわないとね      あの頃っていつのこと      何がちょうどいいの      見計らうって      日々いろんなことがあって      経験ばかりは積み重なるけど      記憶力は落ちてってるから      もう何もあまり気にはならない      なんでもほどほどってところで      いくらでも手が打てる      今進行中のものが一つ      どうなって帰って来るんだろう      気にしても仕方がない      って誰かが言ってたっけ      1月あっという間だった      2月もきっとそう      ゆっくりでも急ぎ足でも      それもその時によりけり      ただあるがまま      感じ方次第なんだから      桜の咲く頃      先が少し見えて来るといいのだけど
    感 覚  (2026.1.29)      寒いのは苦手      早く春になって欲しい      暑いのは苦手      秋が早く来ればいいのに      その時々によって勝手なことを言う      寂しいことや悲しいこと      辛いことや苦しいことだって      望んでも無いのにやって来る      同じくらい      嬉しいことや楽しいことが      あるんだろうか      あっただろうか      数を数える?      重さを測る?      当然比べようも無いんだけど      あの日を思い出そうとすると      出て来るのはなぜか負の感覚のものばかり      そんなことは無い      取り敢えずそうっと否定をしてみて      自分で自分をなだめ      いい感覚を呼び起こそう      きっとあったはず      今からだってあるはず      まだまだ頑張って      時間を紡ぎ日々を繋いで行く      これから先の望みは何?      なんて問われたりもするからねエ
    タイミング V  (2026.1.22)      もともとがノンキなのか      ボーッとしてるふうだからなのか      歩いているだけだったり      ちょっと立ち止まったり      ちょうど行き合わせたり      居合わせたりしただけの人たちとの      何気無い会話      そこまで行った帰りなの      時間があったからたまたまね      最近の物価高の話      テレビで見たタレントさんの話      身内やご自身の体調の話      わずかな時間なのに      内容は結構多岐にわたる      まるで旧知の友人ででもあるかのような      今日も気の向くまま      そして明日も      偶然生まれるタイミング      そんな時間を楽しみに      どこかへ足を運んでみよう
    あかい  (2026.1.15)      もう人が住まなくなって      どれくらい経っているのだろう      ウォーキング途中にある古い家      昨夏の猛暑の中はびこった草に覆われ      今はすっかり枯れた草の中に      ひっそり佇んでいる      人に青い春や朱い夏があるように      家にも建てられた時      賑やかに家族が暮らしていた時が      あっただろうに      今は白秋も玄冬も通り過ぎたその先      日の出が遅くなっている昨今      東に山を見る我が家は      山の上から日が上る姿を      起きた後に眺めることができる      アァ出て来た      空が明るみあかい朝日がのぼる      ガラス越しだけど      深呼吸をして日の光をお裾分けしてもらう      今日という一日が始まった
    いつのことだったとしても(土〜あの日)  (2026.1.8)      父方の祖父母の家の裏庭で      土をこねお団子を作って遊んでいた      途中に3、4段の石の階段があり      真ん中辺りに座り      上の段をテーブルに見立て      作ったお団子を並べていた      情景は覚えているのに      1人だったのか      傍に姉や従姉妹たちがいたのかどうか      大人たちは部屋の中で      何か話していたのだろうか      60年以上も前のこと      大きな建物もなく      家の近くには川が流れ      空は広々と青々としていた      その日があの日と呼べる日のことなのか      記憶ははるかに遠い      この年月の間に      積み重なって来た経験が      今も続いている空の広さが      あの日を更に遠いところへ      運ぼうとしている      新しい1年が      またそこに加わろうとしている