そらまめの日記2



2003.5.11 畑の紫タマネギは玉の紫色を地表に現す。今年のじゃがいも は芽掻きしたあと順調に伸びている。去年の掘り忘れたじゃがいも からも芽が伸びてきた。残飯のカボチャの種からも芽が。強い。 えんどう豆は花のあとにサヤが成長している。薄緑色の葉に白い花、 動物でいうと羊のようなポヤッとした風情ではあるが、つるの先の 何かにしがみついてやろうという意志はすごさを感じる。4本ほどに 分れた縄文土器の火炎模様のようなつるの先端は自分にからみ付き、 つる同士からんで玉になる。取敢えず近くのものにからみ付くが、 あまり先のことを予測することは出来ないようだ。 妻がめずらしく畑に昼飯を持ってきたので、車で近くの土手へ。 目の前には水路には水鳥が泳ぎ、空には鳥が囀る。ウシガエルとヒキガエル が鳴く。スカンポが伸びきって一生を終えようとしている。名前も知らない 草達がかたまって、それぞれ幼年期、壮年期、老年期を迎えている。 後ろには田植えの終わった田んぼが広がる。釣り人が適度な間隔を保ちながら 釣り糸を垂れている。聞えるのは遠くの耕運機の音と上空のジェット機の 音だけだ。
2003.5.5  畑に夏野菜の苗を植え付け。モロヘイヤとルッコラの種も。 ベランダのプランターに3日前に播いたルッコラの種から 早くも小さな双葉たちが出てきた。  友人が本を出し原画展をやっているので出かける。 真面目に「何事も前向きに」活動している友人がいることは うれしいものだ。  しょうぶ湯に浸かり、窓を開け放つ。蛙の合唱が聞える。 雨が降らなくても、蛙どもには田植え後の溢れる水がある。  寒くない。良い季節になった。
2003.5.2  天気予報は晴れが続き初夏の暑さになるといっている。 暑さと太陽の光が好きな私には嬉しい季節がやってきた。 野菜の苗を購入。ナス、ミニトマト、キュウリ、ピーマン、ししとう、 かぼちゃ、オクラ、パセリ、バジル。ベランダ用に素焼きのプランター。 かぼちゃは残飯の種からも自然に芽がでるが味は年々悪くなるようだ。 近くの田んぼには水が入り、およそ半分ぐらいは田植えが終わっている。 畦に小型のトラック、なぜか全部白色だ。鏡のような水面に薄緑色の苗が。  先日、近所の蔵ギャラリーに行ってみた。染物、編みカゴなどの手作り 工芸品が並ぶ。客も手作り風の衣装とアクセサリーだ。お互いの相互鑑賞。 おばさんは納得いくものが見つかるまで財布を開かない。(男は疲れてくると 妥協してしまう)。おじさんたちはこのパワーに気後れし「はなれ猿」の様に ただ遠巻きにしている。おばさん達は比較的簡単に互いに「なごみ」状態に なれる。ふと気が付くと私も年をとり、おばさん達もほとんどが年下に なっている。愕然。はなれ猿なりに男の人と知り合い、昔オーディオの スピーカーに凝った話しや真空管ラジオを作った話し、秋葉原は変わった、 で盛りあがった。その人はオルゴールにも凝っていて、オルゴールはリードを はじく構造なので音の強弱をつけるのは難しいが、強い音を出したい時は 同じ音のリードを何枚か同時にはじくのだそうだ。  ところで昔はやった「ダッコちゃん」は周りの人も知っているが、 その直後に現れた「ダカレちゃん」は知っている人がほとんど居ないようだ。 黒い「ダッコちゃん」から手足をとった形のもので子供達が腕に抱いていた。 全国区ではなかったのであろうか。ホームページを検索しても出てこない。 忘れ去られた存在のようだ。  
2003.4.17  通勤の途中に1本のびわの木がある。 冬の間、白い小さな5本指のような花が咲いていた。 花が散ると、うす茶色の綿棒ぐらいの大きさの実ができた。 今は小指の先ほどの大きさに成長し表面を覆っているうす茶色の 綿毛がとれはじめ緑色の地肌が見えてきた。  トロントの出張はイラク戦争のテロの危険、エアカナダの経営の 悪化、SARS新型肺炎と3重苦含みであったが無事帰国。 行く前はマスクを買い込み、一時はマスクの間にスライスした ニンニクかわさびでも塗りこんでおけば殺菌になるかと半ば真剣に考えた。 飛行機の中ではアルコール度の高いウィスキーでも飲んでのどのアルコール 消毒でもしようかと考えていたがエコノミークラスは今回から有料。 前回はウィスキーも無料であった。やはりエアカナダの再建策の一環なのか。 ここでせこい話ではあるが無料のワインで一応消毒。  成田ではマスクをしている人が多数派であったがトロント空港付近では 少数派。アジア人がマスクをしていると危険っぽい目で見られている ような気がした。  40年ぶりぐらいにマスクをしたので最初は息苦しかったが、そのうち すぐに慣れて、口の周りが暖かいのが心地良くなってきた。 チンパンジーの赤ちゃんの胸と腹の毛が薄いのは、しがみついたとき お母さんの体温をもらうためらしい。
2003.4.6 昨晩からの風がまだあるが、雨上がりのため土ぼこりも立たず、 春の光と、たっぷりの水分を吸いこんで、草の緑が濃い。 水路にはたっぷりの水。その水路の土手に8分咲きの桜の並木 が続く。陽気がよいので田舎道のさらに奥に迷い込んでみる。 田んぼや畑にゆっくりした時間が流れる。 カナダ出張のため「新型肺炎防止」のためにマスクを購入。 薬局の人が言うには、ただのガーゼよりは花粉症用がよいが なにしろウィルスの実験のデータは無いし、大きさがけた違いに 小さいですからね〜ということであった。
2003.3.22 春らしくなってきた。ガーデンセンターで草花を品定めしている 人達は皆顔が半分ほころんでいる。草花は同じ形のものが二つと無い ので選ぶ楽しさというものを満足させてくれる。 ジャガイモと長ネギの苗を植え付ける。前に白菜の菜の花を食べてみたら 旨かったのでターサイの菜の花も収穫。茹でてポン酢でシンプルに食べると これも美味。長ネギは引き抜くと白い部分の細胞が水分をいっぱいに含み 健康的にみずみずしくはちきれそうである。 えんどう豆の苗は伸び悩んでいるが、雑草の中で頑張っている。 踏んづけないように目印の棒を立てる。 本日の夕飯は天ぷら。天ネタは、ふきのとう、まいたけ、みょうが、アスパラ、 ウドの穂先(本体はワカメと酢の物に)、長ネギと干しエビのかき揚、ホタテ。 芋焼酎を飲みながら堪能。
2003.3.14 朝の駅前。市会議員や県会議員の立候補者達がよく選挙演説を している。7−8メートル離れた所ではお仲間がビラを配っている。 私は必ず受け取るようにしている。いろいろ考えのある人の主張は 知りたい。今朝も演説の傍でビラを受け取ったら何と銀行の 住宅ローンのビラ。「便乗ビラまき」だ。
2003.3.6 仕事で「イナカ」方面に外出。単線の線路のすぐ脇の放牧場では、 電車がとおるとホルスタインが立ちあがり逃げてゆく。電車の本数 が少ないのでストレスで乳の出が悪くなることはなさそうだ。 里山の道の分岐には5基ほどの墓がひっそりとある。 駅でJRのイオカードの機械がなく駅員が電卓で計算、現金で 精算するはめに。返りのタクシ−では運転手が、何とか間に合うと 思いますととばす。道路工事ももどかしく駅に着く。つり銭がなかなか 出なくよほど「とっといて」と言おうと思ったがしっかりもらった。 上りも下りも20分ほど時間がある。なんだ。つり銭をもらっといて よかった。 待合室にはショーケースがあり地元の醤油、酒、せんべいが 陳列されている。 ホームに入ってきた電車はモーター音がやけに大きい。 本当はディーゼルカーで、見栄でダミーのパンタグラフを着けている だけということもないだろうが。 時間がないのでマクドナルドで腹をふくらませ2件目へ向かう。 駅で降りて高台に会社の看板が見えたので迷わずそれを目指した。 しかし土手や行き止まりの道。2キロぐらいも歩いて正門は土手の 反対側であった。やれやれ。正門は駅の側にあってほしい。 2件目の訪問も終わり家路の電車に飛び乗ったつもりが路線が違っていた。 30分ほどで気が付きとんぼ返り。入ってきた電車は窓ガラスが1ヶ月も 掃除していないように黄色く汚れている。乗客は1両に5−6人ほど。 ガラス窓の掃除の頻度は売上額に反比例するといったようなJRの 規定でもあるのだろうか。とっぷりと暮れた景色の中を走る。 現実の世界ではないような雰囲気をしばし味わう。1時間のロスタイム。 この駅にも、やはりショーケースがあり地元の醤油、酒、せんべいが 陳列されていた。 「イナカ」の雰囲気ドップリの1日であった。
2003.2.22 妻の検査で病院へ。血液検査、尿検査の値とも正常に戻り 一安心。病院の待合室にいる50才台のおかあさんと20才台の 娘さん。20才台のお母さんと女の子達。コピーの縮小版を見ている ようだ。年をとるとこの様に変化をするのだと参考になる。赤ん坊の 鳴き声の違いを聞き分けてミルクを与えている。お母さんの胸に抱かれて 安心の様子。お母さんが子守唄なのかハミングなのか絶妙な短調的な 音階を発し、子供は安心して眠りにつく。「安寿と厨子王」の年老いた お母さんが子供達を思い、豆のカラを叩きながら歌ったという歌も このような静かなメロディーだったのであろう。私も気持が良くなって しまった。こういう場面に男の出るまくはなさそうだ。 4月になると宮崎の山は木々の水を吸い上げる音が聞えるらしい。 良く晴れた日の午前中、ウォ−ンウォ−ン。大きな木の傍に寝転ぶと 一段と大きな音が聞えるらしい。
2003.2.17 昨日カナダ出張から戻る。ちょうど寒い時期で朝方は −20℃。昼でも−10℃ぐらい。空気が乾燥しているため カラッとした寒さだ。道路には凍結を防ぐため塩を撒いているので 車は塩まみれで皆白っぽい。傷みも早いらしい。道路のそばの 牧場の牛は夏には塩っぱい乳をだすにちがいない。 バレンタインデーはカップルがお互いに贈り物をする日で 「ホワイトデー」はないらしい。店の店員はカップルが 買い物に来ると「引き離し作戦」をとるのだそうで、そのほうが それぞれ高い買い物をしてくれるのだそうだ。 帰りのフライトはビデオ装置が故障のため13時間のあいだ高度、 速度、現在位置、気温などの情報が流れ続けた。トロントから アラスカ、カムチャッカを通るのが刻々わかるのであるが、航跡と 機首の方向が中緯度では一致しているのであるが高緯度では微妙に 南側にずれているのである。北極近辺から離れるときはどの方向に 飛んでも南向きになるからと思う。頭の体操をしてしまった。 隣の席の女の人は日本人の顔であるが、英字新聞を読んでいるし、 流暢な英語を話すし、機内食は食べずに自前の弁当を開いて食べている。 カムチャッカ付近で、窓から見る景色がキレイと言う。雪に覆われた 真っ白な大陸の端が円錐形に切り立って海につながる。海も流氷で白の世界。 今、小説を読んでいて1700年頃のカムチャッカやベーリングを 舞台にしたものらしい。カナダに20年住んでいる非番のスチュワーデス さんで日本人だった。カナダ各地にも旅しているらしくて海岸地方では 海産物も旨いらしい。新しいジョークも5本仕入れた。 政府が虫退治のためにてんとう虫を放したら、確かに虫は駆除されたが ナイアガラのワインの葡萄にてんとう虫の幼虫が入り込み、その時点 ではわかっていなかったため一緒にすりつぶし、苦味のあるワインが できたとのこと。2001年産のナイアガラワインは要注意らしい。 成田はみぞれが降っていた。 今日は春のような1日で、妻が10日間の入院から退院した。
2003.2.11 妻の耳が赤く腫れて高熱が出たため3日前に病院へ。 救急病院でありながら担当医が居ないということで別の 大きな病院へ。風邪気味でもあったが検査の結果インフルエンザ ではなかったのが幸いで即日入院となった。インフルエンザの場合 個室に限られ部屋は満室。抗生物質の点滴で大分良くなってきたが 耳から頬にかけては結構熱がでるとのこと。処置が早くて良かった。 看護婦さんも若くて元気だ。風呂に入れないからと発泡スチロールの 容器に熱いおしぼりを持ってきた。開けてみるとオレンジ色のタオル が1本と白いタオルが5本。オレンジ色は「おシモ専門」とのこと。 感心したのは白いタオル5本は温度差をつけているのである。 時間差があっても同じ温度で拭けるということらしい。 順調にいってもあと何日かは入院することになるらしい。
2003.2.7 免許の更新のため免許センターへ。 現状の体調のアンケートの中に「昼間、うとうと寝てしまうことが 5回以上ありますか」というのがあった。4回ぐらいまでは一応 正常範囲のようだ。 視力の検査では輪の切れ目の方向がやっとわかる。弱っている。 写真をとる係のオジさんは丁寧で、モニターを私に見せながら 写りが悪いからと2−3度やり直してくれた。 30分の優良ドライバー講習では講師のお姉さんの「おはようございます」 の挨拶に皆元気に応えていた。近頃では珍しい。 このような常識のある人間性の人達が優良ドライバーになるのだろう。 来週はカナダに出張することになった。 せこい話ではあるが、定期券が土・日の前に切れると月曜に買う ことにしている。火曜日が祭日の場合はさらに延長して水曜日に 買うつもりであった。損か得かは計算をしていないのでよくわからない。 今回は出張が入ったため定期券的には、儲かった感じである。
2003.2.1 インフルエンザが流行しているらしい。 電車の中でも咳をする人がいて、私はその都度5秒は息を止めること にしている。座席に座っていて目の前に立っている人が咳をするのが 最悪のポジションで菌が放物線を描いて私の顔の辺りに飛んでくる様子 を想像してしまう。 先日は目の前に立った2人のダブル攻撃で、息を止めるのも一苦労で あったが、片方は老人性の咳だったかも知れない。 地下鉄が駅の間で一時停止した時には、「暑くなってきましたので 扇風機を回します」とのアナウンスがあり、車内はインフルエンザ菌の まきちらし状態であった。 電車の広告の中に「私のインフルエンザ撃退法」とあり、口にチャック をする、すりニンニク入りの牛乳を飲む、何でも怒る、とあった。 鼻で息をすれば鼻毛でフィルターになるし、息が臭くないし、体の 免疫を高めるということらしい。 そういう私も先日熱っぽくて休んだが頭痛も咳も無し。単に布団の 掛けすぎで熱かっただけなのか、男の更年期でのぼせていたのか 確かではない。
2003.1.20 部屋のアボカドの木が順調の伸びて63センチぐらいになった。 アボカドを食べたあとの種から芽を出させたものだ。 基の部分の葉は大きく、アボカドの木が大きくなることを示しているようだ。 先端の芽は熱帯が恋しいのか冬の光を浴びて活発に伸びつづけている。
2003.1.12 只今疑問に感じていること。 鳥の糞の中に白いものが混ざっているがあれは何か。 小鳥の赤ちゃんはいつも濡れているようだがなぜか。 鳩のクチバシの脇に白いものがあるがあれは何の役目か。名前は。 武双山のまわしがいつも弛みやすいが相撲協会は注意をしているのか。
2003.1.9 いつもより40分ほど早く家を出る。 空にはまだ星が残り、すれ違う車はヘッドライトを 点けている。暮れに買ったばかりの夜光塗料付きの壁掛け 時計は光り方が暗くて役に立たない。寝る前の光の吸収量が 十分ではないらしい。 部屋のアボカドの木が順調の伸びて60センチぐらいになった。 アボカドを食べたあとの種から芽を出させたものだ。 前回は植え替えの時に根の先っちょを折ってしまったため失敗。 前前回は土が悪かったせいか途中で枯れてしまった。 日光の方へ曲って行くので時々鉢の向きを変えてやっている。 今のところまっすぐスクスクと伸びている。 大きな木になるので葉っぱは今のうちからとても大きく、 細い幹と葉の全体のバランスはすこぶる悪い。
2003.1.5 日本列島は寒波で大雪らしい。関東地方はお決まりの晴天であるが 西の空の雲の形を見れば上空の気流の強さがわかる。 一番上空にチカッと光る飛行機、オレンジ色の上層雲、すでに日の 翳った低層雲と夕暮れ時は雲も立体的だ。 雲を飽きずに見ているうちに年が変わった。年頭の決意といった ものもこれといってないが、せいぜい背筋を伸ばすことを心がけ、 年寄りくさく見えないように心がけることとしよう。 初詣は地元の神社へ。昨年はおみくじで大吉であったが元旦早々 ドライブ中ヒヤッとする場面があり、この日で大吉をつかい切って しまったようであった。今年はおみくじは無し。 カモや白鳥が渡ってきて近所の沼も賑やかになってきた。鼻筋の白い オオバンもよく見られる。 凧上げの家族がいて、まだ2才にもならないような女の子が しっかりと糸を握っている。 土手のからし菜は今年も伸びてきた。周りの土手は護岸工事で 土が入れ替わっているのであるが、からし菜のあるあたりだけは 自然のままにしてくれているようだ。 畑のほうれん草は霜にあたり寒さで成長が遅い分、葉っぱの厚み が増し、おひたしにするだけで、じゅわっとうまみが出てくる。
2002.12.31 西の空は雪でも降ってきそうな雲だが、雲の間に オレンジ色の夕焼けが見える。今年の夕陽は見れそうもない。 白ペンキでカビを塗りこめ、仏壇の掃除、風呂の掃除は私の役目。 熱帯魚も新しい水草の間を泳ぎまわり、いつもより優雅に見える。 妻が今年最後のウォーキングから戻ってきて、「頬紅をつけたよう でしょ」と、火照った頬を示す。年末の懐かい歌番組でギターを 引っ張り出す。若い頃は歌詞にはそれほど真剣ではなかったが、 あらためて歌詞をじっくり聴いてみると良いものだ。 人は冬には先祖を思い、友人を思い、昔を懐かしむ。 妻の実家から送られてきた里芋を茹でたものを皮をむいてつまむ。 人も休息、土も休息。地球の地軸が何十度か傾いているおかげで 芽吹きの春がやってくる。 今夜はワインでも飲みながら「なつメロ」を聴くとしよう。
2002.12.16 あたたかい夜だ。16℃。寒冷前線が通過中とのこと。南方の海から 運ばれてきた湿った空気がコンクリートをしっとり湿らせている。 このまま春の強い雨がまっすぐ降り続き、沈丁花の匂いが漂ってきた としても不自然ではない。 アジアンタムはゆっくりと葉を伸ばし、ガラス戸は結露する理由を失い、 熱帯魚の水槽の水は蒸散を休む。
2002.12.15 畑は、遅く植えたタマネギの苗が霜柱で浮きあがっていた。 えんどう豆は芽が出始めた。ターサイは間引いたベビーをおひたしに して食べるとやわらかくて旨い。紅菜苔は花穂が伸びてきて黄色い花を つけている。ラディッシュは元気だ。長ネギは冬の食卓に欠かせない。 この数日の朝の最低気温は−2℃まで下がっていて、田んぼの枯れた色 が白っぽくなっている。
2002.11.29 仕事で1週間ほどカナダのトロントへ行ってきた。 飛行機の窓から見るアラスカ付近の夜の空には北斗七星の柄の部分が 頭上に立っていて、かなり緯度が高いのがわかる。 メープルの紅葉の時期は終わっていて地面で朽葉に 変わっていた。雪はちらちらしていたが1℃から6℃ぐらいの 気温でそれほど寒くない。テレビで天気予報を見る。 日本で見る天気予報では発達した低気圧は、たいがい千島列島方面に 進みオホーツク海は低気圧の墓場と言われ、そこでおしまいと思っていた。 カナダで見る天気図はアラスカ側から低気圧が現れるのであるが、これが 日本の低気圧の残骸であるのか、またはアリューシャンあたりで新たに 発生したものかは定かではない。その連続性に興味がある。 カナダに来て食べるパンは旨い。歴史が長いからかバラエティがあり 基本がしっかりしている。レストランでの食事はセッティングも進み方も フォーマット化されているため、ある種の安心感がある。やはり多民族国家 で文化も違うために、どこへ旅をしても食事の時ぐらいはゆったり安心して 食べたいといったところか。 日本は文化が同じため逆に食事は独自性を出す傾向があるようだ。 ビールはよく飲むがシーザーと呼ばれているトマトジュースとハマグリの エキスとウォッカのカクテルも旨い。必ずセロリが一本差してある。 カナダの北のほうにムースと呼ばれる大きな鹿の仲間がいる。大人しい 性格で通常は森の奥のほうに隠れているが、6月頃には大量の虻(あぶ)が 発生し体を噛まれるのでこれを嫌って水辺に出てくるとのこと。人がムースを 観察するには良い時期らしい。
2002.10.20 先日、墓参りに出かける。行きは遠回りであるが天気が良いので 東京湾アクアラインを通ってみた。海ホタルは大きな船のデッキに いるようで、揺れることもなく、海を眺めるには良い。 交通渋滞にまき込まれないようにで、いつもお彼岸の日は避ける。 明治の初めの墓石を含め4基。横浜ランドマークタワーが間近に見える。 まるで未来の墓標のようだ。将来の墓はこのようなビルの中に団地の ようにつくられるのかも知れない。死んでからも空中に浮かんでいると 思うと落ち付かない。やはり地面の中だ。 お茶屋さんも混んでいないのでご主人からゆっくりと昔の話を聞くこと ができる。今やお茶屋やお寺だけが昔の情報のデータベースのようだ。 畑は本日ニガウリが最後の収穫。相当小ぶりになった。 カリフラワーは苗を植えたばかりなのにもう中心部に白い食用部分が 2センチほどになっているのもある。早過ぎる。紅菜苔が元気に 伸び続けている。ほうれん草は去年はうまくいかなかったが今年は 順調だ。土がなじんできたようだ。中国菜のタァツァイの種を播く。 冬に霜にあうと美味しさが増す。
2002.10.11 電車の中で目を閉じて座っている。網膜に何やら薄黄色の 残像がうごめいているようだ。長年いろいろなものを見てきた せいか。若い頃は漆黒の世界だったような気がする。 隣に若い女が座ったようだ。カゼ気味なのか、車両のどこかで 誰かがセキをするとその後に合わせて必ずセキをする。 ノドの状態を確認したい気持ちはわかるが、病原菌をうつされたくない 私はその都度5秒間は息を止める。(昔、空中に出た菌は3秒で死ぬと 聞いたことがある)さらに鼻の中の空気を「フンッ」と1センチほど 押し出して万全を期す。 座席に座っていて7人座りの定位置に座っているつもりでも、隣に座る 人が1.5人分空けて座ることがよくある。自分が「正しい」位置なのに いつのまにか「悪い」位置になっていることがよくあるのだ。 まるで折り紙の「だまし舟」状態だ。 そのような時に腰幅が1.5倍の太ったお姉さんが隣にスポッとはまって くれると安定状態に入り気持ちが落ち着くのである。 選択肢が無いという状態は結構心の安定をもたらしてくれるものだ。 修行僧など日課が細かく決まっていて食事もいつも同じであれば その都度「判断」が要らなく無心になれるので頭脳をリラックス 出来るのであろうか。
2002.10.6 先日親戚が上京。東京ディズニーランドへ同行。16年ぶりだ。 ホテルに駐車。雨が降っていたのでバス、モノレールで 入口まで。窓やつり革、エアコンの吹き出し口までミッキーマウス の形だ。アトラクションの入場はチケットが要らないようだ。 せっかく来てくれたのに雨で申し訳ないということでチケットを 確認していないと思っていた。嬉しい心配りと思っていたが 後で聞いたら今は入場券に含まれているとのことであった。 キャラクターの着ぐるみが出没するが記念写真の争奪合戦が激しくて やっとシャッターチャンスをつかんでも今度は私のデジカメの反応が 鈍い。台風が近づいているため4時にはホテルに引き上げた。 ゆっくりと夕食を楽しむ。 翌日は台風一過で晴天。東京湾に船がいっぱい見える。 羽田の親戚宅までドライブ。  畑の作物は風で倒れてはいたが、結構しぶとい。再生可能な様子。 とうがらし、長ネギ、ラディッシュ、モロヘイヤ等を収穫。 とうがらしの赤がきれいだ。モロヘイヤは少しかたくなってきたが まだまだ食えそうだ。  先日電車に乗っていたら超満員で中年男の背中に私の腹が くっついていた。それだけでもおぞましいのに何とその男の腸内の ガスの移動する振動音が脂肪層をとおして私に伝わってくるではないか。 5秒はあった。まあでも人の腸の中のことだからと思っていたら匂ってきた。 2割ぐらいのガスは表に出てしまったらしい。
2002.9.25 この連休は親戚が10名ほど集まって軽井沢方面に出かけた。 軽井沢プリンスホテルのコテージに分散して宿泊。ゴルフ組は ゴルフ。すぐ近くまでグリーンが広がっている。夜は中華料理を 囲んだ。西武ライオンズ優勝ということでシャンパンのサービスが あった。中華に合うとか合わないとかは関係なし。タダの酒はうれ しいが、やはり中華には紹興酒が良い組み合わせだ。 草津で温泉に浸かる。私の好きな硫黄温泉だ。草津の小路を歩く。 狭くて曲がりくねりアップダウンのある路が温泉街の風情を高める。 温泉饅頭を丸ごと惜しげもなく配りまくる店がある。お茶も飲ます。 しかも押しつけがましくないのだ。東京のデパートのお菓子売場で 8分の1程に切り、しかも透明なフタをかぶせて出し惜しみしている 様子とは大違いだ。路を曲るごとに硝子細工、革細工、籐細工など 興味のある店が現れる。やはり豆やエゴマなど乾物が人気があるようだ。 洋品店に「饅頭を触った手で触らないで下さい」の看板がある。 このような路地にある和風の古そうな旅館の雰囲気が好きだ。 天気も良く高原のドライブは快適だ。松の仲間が放つ森林の香りが 漂う。浅間山が頂上から噴煙を上げている。高原野菜の畑が広がる。 朝食は妻と2人でホテルのレストラン。特別なメニュではなかったが 料金が高いぶん一つ一つの素材が良かった。卵焼きの味が濃い。 ヨーグルトにかけた手作りのブルーベリージャムが良かった。 若いカップルがテーブルにつくと薬指の指輪あたりに目がいってしまう。 夫婦か、わけありか・・・。 小諸に向かう。城跡に明治の作家の展示館や洋画家の美術館が点在する。 凝縮された人生がその中に紹介されている。人は創作をする生物か。 10割蕎麦を食べ帰途につく。走行600キロ。
2002.9.20 名古屋へ出張。東京はエスカレータに乗る時は左に寄って 右側を空け、大阪は右に寄って左側を空けると聞いていたが、 名古屋駅のエスカレータは両側とも埋まっていた。 左側に乗っている人は東京方面の人であろう。 コンコースも東京では自然に左側通行になるところであるが、 入り乱れて真中が行く人々、両端が来る人々に分かれていた。 名古屋は黒潮と親潮がぶつかりあい渦を巻いているような感じだ。 地下鉄の切符自動販売機で470円切符を買おうとすると、何と、 470円以下の全ての押しボタンが既に点灯しているではないか。 誰かが買い忘れたのか?儲かった!と思いボタンを押すが反応なし。 しょうがないので千円札が戻ってくる様子を思い描きながら 「取り消し」ボタンを押すがまたまた反応なし。 回りの機械を見回すと全部、ボタンが点灯していた。やれやれ。 あらためて自分の千円札を入れると一瞬消えてから、また点灯した。 ここからは東京と同じであった。 ホームには行列を導く線が横に伸びるようにひいてある。 前の人との間隔をゆったりとって横に伸びているので形になっていない。 案の定、行列の角の手薄なところへ割りこむ輩がいる。 これが関西は正しく行列をつくらない元凶ではないだろうか。 別の駅でホームに線が引いていない所でも、並び方にクセのついた 人々は右側にカーブして並んでいた。 東京人としてはびっしり詰めて縦に並びたいところである。 帰りの新幹線の東京方面ホームへのエスカレータで帰る人達は皆、 左側へ寄っていた。
2002.9.16 以前から寄ってみたいと思っていた中華料理屋を予約して昼食。 場所も奥まった所にあり、看板の大きさも手のヒラほどしかなく 目立たない店だ。予約制のみとのこと。 店の外観から想像して、油のこびりついた畳の上に丸テーブルでも 置いてあるのかと思っていたら大間違い。 白い壁に高い天井。鉄の感触を生かしてスッキリとした調度品。 音楽が静かに流れている。大きな木から削り出したようなテーブル が店内に2つ。客は我が家族だけで、給仕も行き届き大満足。 ミニコースで料理7品目、甕出し紹興酒も飲んで1人3700円程。
2002.9.7 涼しくなってきたせいか犬を散歩させる人達の出足が早い。 犬が地面の匂いを嗅ぎはじめ、ぐるぐる回り始めると、 うんこタイムだ。ちょっと情けない顔をしながら腰をおとす。 本当は飼い主にも側にいて欲しくない心境であろう。 うんこはすぐさまビニールの袋に採集されてしまう。 後ろ足での砂かけをするひまもない。夜中にくやしい夢でも 見るのではないだろうか。 しばらく行くとまたうんこをしたい犬がしゃがんでいる。 今度の飼い主は肛門から出たうんこを直接受け取っている。 ぐるぐる回りながらやっと位置決めし、いきんだあげくに その場所に「あるべきもの」が無い。犬も間がわるそうだ。
2002.9.1 雨が降らない。畑の近くの用水からバケツで水を汲み乾いた 土に撒く。限られた水なので効率良く根に吸収されるように 撒き方に工夫する。ただ水蒸気になってしまうのではもったいない。 やはり種をもっている実ものが優先だ。水をあげれなかった葉もの には、スマンと心の中であやまる。 タマネギの種を播く。 劇団四季の「コンタクト」を妻と見に行く。 内容は男と女の微妙な駆け引きとダンスだ。 人間が「肌」のある動物で本当に良かった。爬虫類や鳥のような 体表であれば、ましてや亀やハリネズミのようであれば男と女の 関係はどうなっていたのか。肌をおおう衣装も大きすぎず、 小さすぎず、黄金分割比みたいなものがあるみたいだ。
2002.8.15 田んぼの稲も穂が垂れ下がり黄金色になった。 雀たちは新米をたらふく食べているせいか活き活きしている。 豊作が続いているせいか、近頃は案山子(かかし)の数も それほど多くない。マネキンの首だけを棒に刺して 案山子の替わりにしてあったのには驚いて気持が 悪かったが、カラスも人間ほど気持悪がるのであろうか。 我が家の菜園も夏の終わりの気配である。これからは野菜も 急いで実ろうとするので水分の含有量は幾分おちる。 雑草を抜き、休んでいる畝を耕しなおす。秋播きの種を何種か購入。 そう言えば春の連休は野菜の苗が多数売られていたが、秋野菜は 菜っ葉が多いせいか苗はあまり見当たらない。 近所の空き地に「犬の糞するな」の立て看板。犬は字が読めない と思うので人のための看板と思われる。人が犬の糞をしている 姿を想像してしまう。といっても人の糞と犬の糞の明確な 違いを観察したことはないが・・・。 犬といえば犬の「未来を予測する能力」について疑問がある。 昔、「犬曲線」という特徴的なカーブの形があることを習った。 ご主人様が帰ってきて右から左に歩いていくとすると、犬は 先を予測できないため、どの時点でも必ず頭がご主人様に向かって 走っていくのであるが、ご主人様も右から左に歩いて行くので 犬の動きをたどると独特な「犬曲線」になるというのだ。 私はこの説を2年程前までは信じていた。しかしながらテレビでは 犬がフリスビーを追いかけて器用にくわえ獲ったり、羊を追いかけて 器用に柵に追い込んだりしているではないか。 フリスビーの回転による動きや風の影響も計算して待構えている。 「未来を予測する能力」についての疑問だが、以下が考えられる。   1.曲線の説明のために、犬には失礼であるが予測能力の検証     も充分にしないで名前を使わせてもらった。   2.犬が進化した。   3.フリスビーの場合は冷静に計算できるが、ご主人様のような     「肉親」が現れると感情に流され計算できなくなる。 いずれにしても猫はご主人を追いかけないので使えないというところか。
2002.8.17 帰宅した妻が電車の中で「歯みがき女」を見たという。 年恰好は60才ぐらい。日本経済新聞を見ている。 まず広告ちらしの角で器用に爪楊枝状のものを作り 歯の隙間を上下、上下、さらに上下、上下。 間もなく経済新聞を顔の前に広げていたが ハラリとした新聞紙の向こうに見えたものは 口の中に横に歯ブラシをくわえて、口の回りに泡を つけている顔であった。オエッ。 すすぎはどうするのかと思っていると、ちゃんと 水の入ったペットボトルを傍らに用意している。!! 広告のチラシは光沢があり水にも強い。 その広告を手巻き寿司の要領でくるりと巻いて 器用にロート状の器を作り下側の尖がりをチョット 折り曲げた。上部の一部分は先ほど爪楊枝のために 破いたあとが欠けていたのであった。 ここで妻はあまりに気持が悪くて車両を替わったらしい。 このあとはペットボトルの水で口をすすいで 「ロート状」に吐き出すのであろう。 そのあと、ペットボトルの水を飲み干し「ロート状」 の排水をペットボトルに戻すのか。 水に強いロウビキの広告を使うあたりは常習者に違いない。
2002.8.16 友人から「えごま」の種をもらい播いた。 大きくなったがどうも青シソと区別がつかない。 近くに生えている青シソの葉を採ってきて並べて 比べても同じだ。葉をもんで匂いをかぐと これも同じ。同じ仲間とは思うが、それにしても??? 可愛らしい2匹のショウリョウバッタをみつけた。 吸った「えごま」の汁の量が違うのか??、色が違っていた。
2002.8.13 お盆なので妻の友人からもらった永平寺土産の 「線香」を開けてみる。何と中身は羊羹であった。 半年も線香のつもりで仏壇の側に置いてあったので 捨てるように言ったが、胃腸には自信のあるといって わが妻は食べてしまったのだ。 今のところ腹具合は悪くない様子。 林の中を散策。木陰は涼しい。特に谷から吹き上げて くる風は心地よい。いま時は日本全国民がセミの声を 聞いているはずだ。昔も昔昔も鳴いていた。 ホーシーツクツクと鳴くセミは、だんだんピッチが 早くなってついには息切れしてジョジョピージョジョピーと 3回ほど鳴いて一休みする。こういう鳴き方は 一生懸命さがメスにも伝わって効果的のようではある。 四六時中ミィィィィィィィィィィミィィィィィと 鳴きつづけているセミは没個性で訴える力が弱いのでは と心配になるが、人間より歴史のあるセミにとっては 心配御無用なのかも知れない。 近くのスーパー銭湯で汗を流す。 石鹸を持っていかなかったため販売機で100円で購入。 カウンターでカッターを借り、妻と石鹸2分割。 みみっちぃ話ではある。 泡マッサージ、サウナなど利用したが、先日心電図を 検査したばかりなので電気分解みたいな電極のある 風呂はやめておいた。 水の音の中にハワイアンギターの音楽が流れ 目を閉じていると南の島状態であった。 夕方近所でおじいさんを散歩させている犬がいた。 あえて犬を散歩させているおじいさんがいたと 書かなかったほどたいした犬の面構えであった。 雑種っぽかったが腰の前かがみのおじいさんの前を ロープを一定のたるみに保ったままアゴをひいて 一定の速度で歩いている。ジーンときた。
2002.8.10 ところてんを突く道具をやっと見つけ購入。 さっそく乾燥天草を2時間程煮込み冷蔵庫で冷やし 突いてみた。ウーン、失敗。柔らかすぎ。 説明書どおりの水加減にすれば良かったのに 水分が蒸発するからと思い多めにしたせいのようだ。 次回は保温調理なべを使ってガス代が節約してみよう。 柔らかいといえば7−8年前に南房総で宿泊したときに 出された「マンボウ」の刺身も柔らかかった。 解凍したホタテ貝の刺身のようで筋肉の繊維を感じないほど 柔らかかった。酢味噌で食べた。 外洋を泳ぎ回るマグロ、かつおは酸素たっぷりの血液を必要と するので赤身、平目やキスは砂浜にいて速く泳ぐ必要がない ため白身と聞いたことがある。 マンボウは大きなうちわみたいにゆらゆら漂っているのだから やはり白身であった。
2002.8.4 畑のとうがらしの緑と赤がきれいだ。クリーム色の花のオクラは 紫色のめしべを良く観ると既に5角形の模様があり、いつも食べている 緑の実の断面の5角形はこのへんからきているのであろう。 種をまき、日が照り、雨が降り、収穫する。大概のことは自分の畑の範囲 の中でできるのであるが排水だけは別だ。 溝を一生懸命深く掘っても、かえってよその畑から 水が流れ込んでくる。ため池状態だ。 小さな溝から、より太い溝へ。溝の深さの傾斜が大事。 「水を治める者は国を治める」だったであろうか。実感。 話しは変わるが毎朝隣り駅から電車に乗りこむ30才ぐらいのOLがいる。 いつも扇子を直ぐに開き眉間にしわを寄せてあおぎ続けている。 先週、外もそれほど暑くない日で、車内は冷房のききすぎ という日があった。寒くてギンギンだ。私はそのOLが扇子を開くか どうか興味深々であったが、やっぱり開いた。 「習慣は急に止らない」。眉間のしわもいつも通りであった。
2002.8.1 電車の窓に稲光が光りはじめる。 まもなくガラス窓に叩きつける雨。 乗客は箱舟の運命共同体の様相だ。 駅から走ってスーパーの入口で雨宿り。 あとは幅10メートルほどの歩道を渡れば我が家であるが 1秒間隔で光り続ける稲妻に渡る決心がつかない。 電気の速さは一瞬だ。避雷針も60度の角度の中には無い。 稲妻の形もはっきり見える。近くに落ちた。停電。 街灯も消えて真っ暗ななか1秒おきにピンク色の 景色が現れる。ストロボ状態の稲妻に瞳孔も忙しい。 1分程で停電は復帰したようだ。 少しでも体を低くしようと傘はやめ、腰もまげ、 やっと帰宅。 1時間は経ったであろうか。雷は南に去っていった。 時々光り、低い周波数の音が遠くから空気を伝わってくる。 ドラマのあとの静けさ。 車が水溜りを走りぬける音がときおり聞こえる。 今夜は涼しく眠れそうだ。
2002.7.28 畑の雑草の伸びがはやい。 堆肥をたっぷり入れたところの草は濃い緑、 入れていないところは薄い黄緑ではっきり色分け されている。肥料の効果をあらためて実感。 クワを入れるとカエル、コオロギ、虫たちが いそいで逃げる。 モロヘイヤ、ナスは最盛期。 にがうり、オクラ、さつまいも、かぼちゃはこれから。 いんげん、キュウリは秋の気配。 長ネギはマイペースで少しづつ伸びつづける。 ミニトマトでのどを潤す。完熟だ。 直径2センチの球形の中に甘酸っぱいジュースが いつのまにか閉じ込められている。 デジカメ購入。300万画素、光学8倍ズーム。 外出時は必携だ。
2002.7.13 久しぶりに畑へ。 台風の風が心配だったが、なす、きゅうり、インゲンは 実をぶら下げて待っていた。 ニガウリのテは風でゆがんでいたが黄色の花の下には いぼいぼの実が2センチほどになっていた。 とうもろこしはヒゲは一人前だが実が細く観葉植物状態。 カボチャは元気にツルを這わせている。丸い葉は総て空を向き 太陽の光を残らず吸い取る。ツルの先端は丸まって、 ちょっと硬めのうぶ毛におおわれ、ちょっとでも掴まるもの があれば見逃さないぞという意気込みを感じる。 湿度が高く汗がたまる。時々吹く風がうれしい。 近くの喫茶店でラテン音楽のライブがあるので出かける。 パーカッションの種類が色々あり調子がいい。 皆、のりのり。踊り出したり手拍子だ。
2002.7.11 台風は今朝の2時頃に近くを通過したらしい。 急に風が強くなり建物の角で削られピィー、ピィー鳴る。 近づいてきているのか、遠ざかっているのか。 テレビをつけて遠ざかっていることを確認する。 自分の位置を確認しておかないと落ち着かない。 安心してフトンに入る。 いつのまにかゴォーという風の間に 静かな時間が続くようになる。 遠くで生れた風がゴォーとちかづいてきては 近くでひるがえり、またゴォーと遠くに帰って行く。 しばらく静寂が続く。 ゴォーとゴォーの間隔がだんだん長くなってくる。 遠ざかっているらしいという安心感で風の音も ここちよい子守唄になる。 頭の中にふと文部省唱歌が流れる。   木枯し途絶えてさゆる空より   地上に降りしく くすしき光よ   もの皆憩えるしじまの中に   きらめき揺れつつ星座はめぐる。
2002.7.10 台風が近づいている。 夕方外出。空気はなまあたたかい。 この南方の海から運ばれてきた熱気に包まれた 台風は衰える様子が無い。 普段は見ることが無い帰宅電車からの夕暮れ風景。 電車から見える空には黒い雲が低く走る。 これからやってくる暗闇への不安なのか 胃のあたりがツーンとしてくる。 待っていてくれる家族のあるのがうれしい。 人とは帰宅する生物なのか。 台風に備えベランダの植木鉢達を部屋にとり込んである。 雨が強くなってきた。 ゆっくり雨の音を聞きたくなって テレビ、ラジオのスイッチを切った。 かえる達がこの雨を喜んでいるのか 慌てふためいているのかは定かではない。