木曜日の風のいろ4

 10年ほど前、心が折れそうになることがあって、、、逃げ出したい、、、抜け出したい、、、
 でも、それ以前に、なぜ自分がここに居るのか、なぜこういう状況に直面しなきゃいけないのか、
 自分を納得させるために、自分に問いかけ、向き合わざるを得ませんでした。
 そんな暗中模索の中、自然発生的に生まれ出てきた言葉たちです。
 今もまだ、完全に吹っ切れた訳ではないのですが、、、、今日は今日の風が吹いています。
 九州の空の下より風に乗せてメールを送ります。
 お読み頂けたら幸いです。  (はるか)





   今 日 (2013.12.26)      今の私ができること      とりあえずは目の前の      今日やるべきことをやるだけかしら      でもまあ      明日でもいいかなんて      怠けぐせな私が顔出して      やっぱりいつものように      ついつい心がボーッとしてしまう      人生の半分とっくに過ぎて      あと春はいくつ      あと秋はいくつ      過ぎた日を数えるよりも      先に不安を覚えるよりも      もっと大切なこと      今日を精一杯生きること      でもやっぱり      真剣な私なんて      自分で想像できなくて      私らしい生き方は?      暗中模索ではあるけれど      ボーッとしながら      それでもやっぱり      私の行く先探してる
   五行詩 五編 (2013.12.19)      背表紙が呼んでいる      図書館で      書店の棚で      手に取る瞬間      呼ばれた瞬間      つないだ手がほどけた      指のすき間からこぼれた      バラバラのかけらを拾わなければ      またつながなければ      元どおりにはならないとしても      凍った心を      レンジでチン      ホカホカ湯気が出るよ      あったかい心を      何度でも届けよう      夢で考えごと?      目が覚めたら      布団の中で      腕組みしてたよ      何だったのかなァ      朝はかもめ      ゆうべは鴨が      舞い降りて      互いを知らずに      川を分け合う
   願 い (2013.12.12)      なにもかもが嫌になる      不安 焦り 苛立ち      なにもかもどうでもよくなる      諦め 逃避 精算      何かが良くて何かが悪い      プラス マイナス ゼロになる      人生なんてこんなもの      ふっと笑いだしたくなる どうにかなるさ      他力本願 自然体      昨日は昨日      今日は今日      明日は明日の風が吹く      白い雲も風まかせ      川の水も流れのままに      いつかは海にたどり着く      また深い淵に迷うとしても      流れ着くまでには      たどり着くまでには      投げ出したくなったものたちの      愛しさに気付くはず      見失いたくはない      そして      この手で受け止めたいと願う      本当は大切なものたちを
   パセリと苦労性 (2013.12.5)      パセリは      そんなに好きじゃない      何かの付け合わせとして      皿に乗っていても      ほとんど食べることはない      宴用に買ったオードブル      人の手が伸びて      大方食べ終わったあと      器に残った思いのほか多いパセリたち      そのまま捨ててしまったとしても      さほどの憂いもないけれど      そのときふと思った      何か生かす方法はないものか      細かく刻めばスープの浮き実      マヨネーズに混ぜればタルタルソース      マカロニサラダにだって      パラリとふれる      まな板の上で細かく刻んだ      こんなことをしているから言われるのだろう      手の大きな人は苦労性      パセリを刻みながらじっと手を見る      人より大きめ苦労性と言われる手を      確かにそうかもしれない      人並のこと人並以上のこと      この手でいろいろやって来た      でも支えがあった      たくさんの存在のおかげで      生かされて来た      だから      まァいいかなんて思いながら      パセリを生かし私も生かされて      これからも時を過ごして行く
   役 目 (2013.11.28)      いつもそう さよならがヘタなんだ      小さい頃のおはじき      傷んでしまったぬいぐるみ      いつの間にか減ったセットの食器の残り      受け入れることはたやすいのに      自分からさよならするのはとても苦手      誰も引き取り手のないままだった      祖母の家の古い物を思い切って処分した      長い間ひっそりと納戸の中で埃と共に      佇んでいた箪笥、長もち、柳ごおり      ギシギシと音をたてて      トラックの荷台につまれて行った      みんなみんな取っとく訳にいかないもの      祖母が居たのはずっと前のこと      昭和があったのもずっと前のこと      時が流れて      人の命も物の命も終わって      時代は移っていく      いろんなものを見送って来た      さよならが苦手でも      時にはそれが役目なのだと      仕方がないのだと      自分に言い聞かせながら
   りんごの行方 (2013.11.21)      ウィリアム・テルは      子供の頭上に矢を放った      ニュートンはりんごが落ちるのを見ていた      絵手紙に描かれたりんごは      信州から姉へ送られ      絵となって私の元へ      どこからどこへ      本の頁から生まれた風は手元をすり抜け      溢れた涙は頬を伝う      ニュースの映像は次へと変わり      目の前のコーヒーカップは空になる      いつも何かがどこかへ      星の位置は昨日と異なり      月の欠け方が増している      地球はここに何十億年      放たれた矢は頭上のりんごへ      枝のりんごは引力で地面へ      描かれた後のりんごは姉の口の中へ      私はここに何十年      どこからか私の元へ      赤い色したちょっとときめく      私のりんごを待っている
   過ごし方 (2013.11.14)      与えられた二十四時間      みんなはどう過ごしているのだろうか      学校や職場で過ごす時間      そこへ通うための時間      あとは      食べたり      眠ったり      お風呂に入ったり      みんな大して変わらないのだろうか      どこかの隙間にわずかでも      自分の時間があって      やりたいと思うことがやれているのなら      迷いというものは生じないのだろうか      何に取り組むか      何に励むか      人それぞれだろうけれど      その空白を埋められなければ      充実感が得られなければ      生きている実感が得られなければ      ただ無為に過ごす時間の怖さを感じている      きっともう      残りの少なさが      気になり始めたからなのだろう
   青 空 (2013.11.7)      悲しいときは      くちびるをギュッとかみます      怒りたいときは      冷たい水をゴクッと飲みます      寂しいときは      甘いキャンディーをポンと口に入れます      嬉しいときは…      楽しいときは…      きっと      青空があれば      それだけで幸せでしょう      嬉しいときも      楽しいときも      空を仰ぎます      青空がいつもあるように      祈ります
   ナンチャアナイ (2013.10.31)      時々ちょっとつぶやいてみる      ナンチャアナイ      日頃は結構テキトーに      生きてるつもりなんだけど      本来わりかしキマジメだったりする      その性格が災いして      些細なことにこだわり感じたり…      ゴックンと飲み込めなくて      胸元につかえたモノをどうしよう…      なんてそんなとき      ちょっとイシキテキに      言葉にしてみるおまじない      ナンチャアナイ      もう一度くり返してみる      ナンチャアナイ      そうするとアラ不思議      スルスルとは行かないまでも      つかえていたモノが      ホンノチョットは飲み込みやすくなったかな      空を見上げてついでに思う ま いいか      ナンチャアナイのおまじない      明日は今日よりもう少し長く      晴れの時間を下さいね
   日 常U (2013.10.24)      したいとか      したくないとかに関係なく      山積したものが私に迫って来る      追いかけられているようで      つい逃げ出したくなってしまう      もっと違うところに      もっと違うものがあるはず…      今はとっくに飛び去ってしまったけれど      かつては夢という名を持っていた      その抜け殻となってしまったものが      まだ瞳の端にほんの少し姿を残している      追いかけることもできず      あきらめることもできず…      あの頃に引き返せはしないし      明日の居場所も定かではないけれど      とりあえずは今日を      それだからこそ今日を      どうにか生きてみる      煩わしいと思っているはずの日常が      喘いでいるはずの日常が      今日の私を      救ってくれると思うから      日常があることのありがたさに感謝して
   夢のはざま (2013.10.17)      ぼくは深い海で      ずっと眠っていたんだ      ときの流れに身を任せ      ずっと漂っていたんだ      もうろうとした意識の中で      いろんな音いろんな声を聞いた      閉じた瞳の中を      いろんな光景が過ぎて行った      悲しかったこと嬉しかったこと      ぼくは目が覚めても      ずっと忘れないよ      ぼく自身にもわからない      からだの記憶の片隅を      脈々と流れる血潮となって      いつか現実の光景を見たときに      思い出すんだ      苦しいことも楽しいことも      眠っていたときと同じ      きっと他愛もないことなんだ      ときの流れとともに過ぎて行くんだ      そしてまた瞳を閉じれば      ぼくはいつでも      深い海に帰れる      そしていつでも望んだときに      生まれ変われるんだ
   レモン味 (2013.10.10)      ひとりでちょっぴり寂しいときは      両手で包めば温かいレモンティー      友達ワイワイ楽しいときは      弾けたレモンスカッシュを      お口にポンとほうり込めば      いつでもさわやかレモンキャンディー      風邪ひきさん喉に痛みがあるときは      レモン味のトローチを      やさしく眠りに落ちたいときは      蜂蜜とろーりホットレモン      気がついていてもいなくても      いつでもそばにはレモン味      お口と仲良しレモン味
   イグアナの嘆き (2013.10.03)      南方からやって来たイグアナは      なぜだか分からないままに      神戸の街で路頭に迷っていた      どうやら飼い主が      持て余して放り出してしまったらしい      自由の身になったのは嬉しいけれど      ここは一体どこなのだろう      どこへ行けばいいのだろう      丸い池はグルグル回っても同じ場所      身を隠せる暗い側溝は      入口さえ見当たらない      緑の草原も      川原の石も見当たらない      遠くの空を眺めたら      飛行機が小さく飛んでいた      目だって耳だって人よりずっといいんだ      あれに乗れば      遠くのふるさとへ帰れるのだろうか      そんなことは分からないけれど      又ひょいと捕まえられて      ケージに入れられてしまった      都会のイグアナには      結局ここがお似合いなんだ      いや違う      ここが一番安心な場所      …なんだろうな
   日 常 T (2013.9.26)      なんだろう      焦燥感だろうか      胸の奥が      チクチク      ハラハラ      ドキドキ      している      何かをしなければ      胸の奥の痛みを取るために      胸の奥の時を刻む音      だんだん大きくなる      早くしろよとせき立てる      だんだん小さくなる      今にも消えてしまいそう      胸の奥のカウントダウン      チクチク      ハラハラ      ドキドキ      私にしかできないことではなく      私にだってできること      それはきっと      私に与えられた日常を      私らしく過ごすこと
   涙 (2013.9.19)      思いがけずこぼすことがある      感動のシーンに出会ったとき      まだ見ぬ未来に不安を覚えたとき      目の前の現実に      そんなことすら忘れてしまうけれど      些細なことにも心を砕き      たとえ報われなくても      やることはやっているという      ほんの少しの安堵感で      ほんの少し心を支えている      メールに添付されて来た一枚の写真      真っ赤ではなく優しい赤の      花瓶に活けられた薔薇の写真      庭に咲いた花だという      丹精したんだろうな      わァきれいと思った後      思わず目に滲んでしまった      日々の暮らしの何でもないところにも      ふと誘われるものがある      嬉しくても悲しくても…      その感情に至らないときでさえ      ときおり心を潤してくれている
   これっ! (2013.9.12)      夕食の献立を考えているとき      新しい服を買おうと思うとき      母への誕生日プレゼントを迷うとき      図書館で借りる本を選ぶとき      雲の形が何かに似てるとき      テレビで見た人の名前が出て来ないとき      アァそうだ      これだっ      ピンと来るもの      心に響くもの      運というか      縁というか      きっとそれも      出会いのようなものなんだね      いつも      これっというものを      探しているような気がするよ      人もそう      仕事もそう      生き方もそう      納得ができればいいんだろうね
   道 (2013.9.5)      どこまでも      道が続いているのなら      その道を歩いてみたいと思う      どこに曲がり角があるのか      何にぶつかるのか      岐路に立ったときは      思う存分に悩み      途絶えたときは      なんとか切り拓き      たどり着くところがどこなのか      それはいつなのか      今はまだ分からなくとも      細い道や      でこぼこ道や      埃だらけだとしても      道はまだ      続いていると信じたい      いつの日か      緑の草原へ      青い空へ      続いて行くと信じたい
   青空の中で (2013.8.29)      もうこれ以上は      青くはなれないような      澄み切った青空が      きっと果てなど      ないのだろうと思わせるほど      遠い遠い遠いところまで      続いている      ほんの粒子のような      ひとつの点      草も木も      鳥も犬も      私も      みんなみんな      ひとつの点      生まれたときから      この澄み切った青い色の中の      ひとつの点      肩に力なんか      入れなくたっていい      空を飛ぶ鳥のように      野原を走りまわる犬のように      青空の中に      身を任せていればいい      細く頼りない草だって      堂々と立っている木だって      自然の中に      身を任せている      この青い空が      教えてくれている      そのままでいい      一つ歳を重ねたからといって      何も変わらない      何も変えることはない      ただ続いて行くだけ      青い空の中に      溶け込んで行く      そのときが      来るまで
   漂 流 (2013.8.22)      雲の切れ端を少しくださいな      心をフワッと軽くしたいのです      星のかけらを少しくださいな      心に灯りをともしたいのです      月のしずくを少しくださいな      心の海を照らしたいのです      たった一人の海原に      風の子連れて行きましょう      木の葉のような小さな舟を運びます      どこまでも波に揺られて旅します      丸い地球の海よりも      心の海は果てしない      いつまでもいつまでも      心の旅は続きます      青空少しくださいな      澄んだ心を取り戻したいのです      夕焼け少しくださいな      明日の希望を信じたいのです
   足 跡 (2013.8.15)        「ジャワの天国、ビルマの地獄、生きて(死んでも)帰れぬニューギニア」      とささやかれていたニューギニアが      義父の赴いた戦地だった      夫と結婚して三十余年      義父から直接話を聞いたことはなかった      夫もほとんど知らなかったため      父の米寿を祝うにあたり      息子としてその足跡を調べてみたいと思った      のだという      米寿を祝う宴へと向かう車中で      その手記を手渡された      義父の記憶をたぐり寄せての聞きとりと      自らいろいろなもので調べたことを照合して      夫の手でまとめられたものだった      寡黙な男たちは多くを語らない      義父が戦地へ赴いていたことは知っていたが      そこがニューギニアだったことや      冒頭のように表現されていたこと      夫がその足跡を調べていたことも      知らないことばかりだった      義父は前線ではなく      後方の野戦貨物廠だったらしい      しかしその惨状には変わりはなかった      本国からの輸送物資は途絶え      何もない中での惨たんたる戦いだったのだ      そしてついには本国から見放され      「全員潔く死ね」という玉砕命令      義父所属の部隊には届かなかったのか      空爆にあって火だるまになり      川に飛び込んで消火はしたものの      大火傷を負って臥せていた義父には知らされなかったのか      生還率八%の狭き門をかいくぐって      妻と娘の元へ義父は帰って来た      昭和十七年十一月の召集から二十一年二月の      帰還までの足跡だった      その後夫や夫の姉妹が生まれた      義父の生還がなければ      私たちの出会いも含め      その後のできごとは何もなかったのだ      車中で手記の頁を繰りながら      涙をおさえることができなかった      義父の生還はもちろんのこと      夫や私や後部座席の娘の      今ある命の不思議      いろいろなことが脳裏を巡っての涙だった      米寿を祝う宴の席      敬意と感謝の意を伝えたい      と結ばれたその手記が      集った人々に配られた
   今 思うこと (2013.8.8)      欲しがりません 勝つまでは      そんな時代があった      多くの人の命が奪われ      多くの人が傷ついた      物資など何もなく      食べることさえままならない      命をつなぎとめるだけで精いっぱい      そんな時代だった      なぜ戦争など起きてしまったのだろう      時代の流れ      世界の情勢      戦後生まれの人間が      疑問を持ったところで      明確な答など得られるはずもない      起こることが起こるべくして起こる      ということだったのか      今 言えることは      そんな中でも生き抜いて来た人たちが      復興を成し      今の時代の礎を築いて来たということ      あの戦争がなければ      復興もなく      今の繁栄もないのだから      手を伸ばせば      何でも手に入る時代      手に入れられるものは何でも手に入れたい      欲に目の眩んだ人間は      未だに失ったものの多さに気が付かない      愚かなことをくり返している      一つの手に一つのもの      二つの手に二つのもの      それだけあれば十分じゃないか      たった一つの命さえ      手放さなければならなかった多くの人たちは      今の時代をどんな思いで      見ているだろうか      足るを知る      もう一度考えなければと      つくづく思っている
   まだもうちょっと (2013.8.1)      どこから見ても…      たとえば      しみやしわの現れた手の甲      それは積み重ねた年月の証      たとえば      つい後ずさりしたくなる引っ込み思案の背中      それでも前を向いていた      起床時間などおかまいなしの夜更かし      しんとした時間は落ち着けるから      小さなビーズをつなげて作ったブレスレット      誰かが喜んでくれるなら      好きな音楽はJポップ      嫌いな食べ物はいくらと数の子      部屋の片付けはかなり苦手      愚痴っぽいけどあきらめも案外早い      どうにかなりそうなところも      どうにもならないところも      傷ついた指先に滲む赤い血も      肩を落としてつくため息も      突然溢れ出る涙も      肉体も精神も      どこを切っても紛れもない      まだもうちょっと      つきあわなければならない      私自身
   ヤップの石貨 (2013.7.25)      南の海の真ん中の      小さな小さなヤップ島      昔の勇気ある男たち      カヌーを漕いで      腕くらべ      荒れる海と闘って      大きな石貨を運んで来た      より困難なほど      石貨の価値は増していく      時を隔てて今昔      自然の残る森の道      苔むした石貨は飾りもの      車の通る今の道      車の運んだ米ドルは      便利だけれど文化がない      島を守る長老は      時のはざまに苦しんで      車と米ドル受け入れて      涙ながらに昔を語る      憂いを消せずに未来を語る      今も昔も青い海      島のまわりは青い海
   緑色の風に包まれたなら (2013.7.18)      なにもない      まわりにはなにもない      ただ大草原のまん中に寝ころがっていたい      草原を吹き渡る緑色の風に      ゆりかごのように包まれて      目をつぶっていたい      からだの中にも風が吹き込んで      緑色に染まって行く      心の中までも      緑色に染まって行く      すべてを草にゆだねて      すべてを風にまかせて      ただ緑色の中の      緑色の点になる      そうして      いつのまにか眠りにつく      目が覚めたら      目に映るものが      家々や立ち並ぶビルだとしても      私の足どりは軽く      緑色の風のように      歩いて行けるだろう      緑色の風のように      歩いて行けるだろう
   夏の妖精 (2013.7.11)      海はさらに海らしく      山はさらに山らしく      少しずつ夏を近づかせるために      夏の粉を振りまきながら      夏の妖精たちが      飛びまわっているんだね      目には見えないけど      透きとおった羽根をつけて      波のあいだを      谷のあいだを      木々のあいだを      草たちのあいだを      人々のあいだを      夏を運ぶ風となって      空のいろ      水のいろ      草のいろ      花のいろ      鳥の声      流れる音楽      人々のおしゃべり      自然も街も      空気の濃さを増していく      夏が近づいて来るほど      飛びまわっている妖精たちが      きっと      増えているんだね
   親 友 (2013.7.4)      話がしたいと思ったときに      話がしたいと思ってくれる      会いたいと思ったときに      会いたいと思ってくれる      たまに待ち合わせをする      紺色のときには紺色      茶系統のときには茶系統      服のテイストも同じっぽい      一緒に居て全く違和感がない      興味や関心の方向も似ている      好きな音楽のジャンルも      読んだ本も同じだったりする      ずうっと昔の恋の経験も      なんか似ている      親の年代も同じ      子の年代も同じ      生活の様子も      想像できる範囲内      ああだねと言えばそうだねと言い      こうだねと言えばそうだねと      共感しあえてる      深入りもせず      ちょうどいい距離にいる      親友      とても大切な存在